【人生はプース・カフェ Barに集えば…】イスラエルの夏2001 ⑯ 『ヨルダン編 ① 国境からペトラへ・後編』

お酒

プース・カフェとは、様々なリキュールの比重の違いを活かし、幾重に鮮やかな色が重なるカクテル。人生もまた色とりどりの思いでの重なり…


【16.1. アカバから】

 

 車に乗るとアカバの街は直ぐだった。この車は市内を走る用で、ペトラまで行くには自宅に戻って車を乗り換えるとの事だった。


 死海に行く時もなぜかドライバーの自宅を経由した。その辺の線引きは緩やかだった。

  

 夜に街に出る事が今まで無かった為、アカバの街は凄く賑わっているように感じた。


 街の繁華街で一旦車を止めて彼は街に出ていった。しばらくして、今まで食べてきたものより、少し大きめのシュワルマとコーラを買って、晩ご飯だと渡してくれた。


 今日の食事を半ば諦めていた私達にとって最高のご馳走だった。旅の途中でタイミングよく食事が出来ない事はよくある事だった。


 車の中で3人でシュワルマを食べながら、彼の自宅に向かった。街から少し離れた所に住宅街があり、彼の家もそこにあった。


 彼が自宅に入るが、間も無くして出て来て、少しイラつきながら、「弟が車の鍵を持って出掛けやがった。」と言った。彼は弟に電話をかけるが、なかなか出ない。


 居場所が分からないまま、また車を街に走らせると、やがて携帯電話が鳴り、弟の居場所が分かったと言った。


 街の車道の端に寄せて、車を降りる時、中で待つ私達に彼はタバコを渡した。「俺たちはタバコの奴隷になってはいけない。」というアンディの言葉で私達はタバコはやめていたが、ヨルダンのタバコを吸う機会も無いから良かろうという事で、我々はタバコを吸いながら車で待つ事にした。


 久しぶりのタバコは気持ちを落ち着かせて、吐き出した煙は窓を抜け、ヨルダンの街に溶けていった。



【16.2. ヨルダン200km夜行 】

 

 初めてメルセデスに乗るのがヨルダンだったとは夢にも思っていなかった。200kmの長い道のりの殆どは岩砂漠にひかれたハイウェイで、途中で車が止まったら絶望的だ。そういう時は壊れにくいとされるベンツを出すのだそうだ。


 彼と出会ってから、およそ1時間。我々はすっかり彼を信頼する事が出来ていた。そして、これから始まるおよそ3時間ほどの岩砂漠の夜行や、その先のペトラの遺跡はどんなものなのか。彼の存在で不安が期待に変わっていた。


 すり抜けただけのアカバの街だったが、暗闇の国境から突如現れ、食と渇きを満たし、人の活気と営みに、溢れる元気と覚悟をもらった。


 車は20分もするとハイウェイに入る。周りには外灯すらない真っ暗な1本道だった。道路以外はただ続く岩の山がたまにヘッドライトに照らされた。


 助手席に座ったアンディは彼と楽しそうに会話をしていたが、荒れたアスファルトがタイヤを切りつける騒音で2人の会話はあまり聞き取れ無かった。


 やがて私は退屈になりウトウトしはじめた。ヨルダンの真夜中の岩砂漠の車中で安心感を持って眠りにつけるのは幸せな事だった。


 「Masa!! 起きて!」アンディが私を強く呼んだ。


【16.3. 星の数ほど】


 星の数ほど、、、とは非常に数の多い事の例えとして使われる言葉だ。


 あの空を見たら、だれもが、簡単に星の数ほどと言えなくなるほどに、空には星が煌めいている事を痛感するだろう。


 真夜中の空の黒い部分と同等位に星があるように、あの空は見えた。感動というより、星の多さに対する脅威を感じた。


 星が多すぎて、星座を見つける事が出来なかった。夜空が眩しすぎて明るかった。


 吸い寄せられるように、ずーっと見上げていたかった。


 ドライバーは空を見上げる為に、車を止めてくれた。


 人の営みから遠く離れた、岩砂漠の中の一本道。この時間通る車は他にいない。街の明かりや、空気の汚染など一切ない。星空は暴力的にギラついていて、地平線の際まで星で埋め尽くされていた。


 夜の岩砂漠には今まで体験した事の無いほどの、ハエが飛び回っていた。車の出入りの際に何匹か入り込んで来たが、走りながら、薄っすら窓を開けておいたらいつの間にか消えていた。


 車の窓に顔を押し付けて、何度も、何度も、何度も、空を見上げた。

 つづく…

Bar Blue Reef | バー・ブルーリーフ

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