【人生はプース・カフェ Barに集えば…】イスラエルの夏2001 ⑮『ヨルダン編① 国境からペトラへ 前編』

お酒

プース・カフェとは、様々なリキュールの比重の違いを活かし、幾重に鮮やかな色が重なるカクテル。人生もまた色とりどりの思いでの重なり…


【15.1. 突然の旅立ち】

 

 当時、そんなにお金は持っていなかったが、簡単な旅なら、交通費、食費、宿泊費、その他合わせても何とか1日4〜5000円くらいで済ます事ができ、週2回のアルバイトで4000円位と、月1回のお小遣いを少しずつ貯めていると、たまに旅行を楽しむ事ができた。


 エルサレムから無事に帰ってきた我々に、また日常が訪れようとしていた、、


 と思っていたらアンディが突然、ペトラの遺跡と言うところに行くと言い出した。


 ペトラの遺跡はヨルダンにあり、「インディージョーンズ最後の聖戦」の舞台となった、巨大な岩の城がいくつも立ち並ぶ岩砂漠だ。



 「1人で行かないで、一緒に行こうよ!」


 またも、準備不足感は否めなかったが、また次の週末からの2泊3日のヨルダン旅行が決まった。


 エルサレム旅行で、少し資金不足だったので念の為、日本から持ってきた米ドル建てのトラベラーズチェックをはじめて持ち出す事にした。


 イスラエル南端のエイラットから国境を越えてヨルダン・アカバの街に入る予定だ。ハイファから乗ったバスは、イスラエルではよくある事だったが、大渋滞に巻き込まれて到着はだいぶ遅れそうな予感がした。

【15.2. 真夜中の国境線】

 

 エイラットの国境についた頃には、もうとっくに日は暮れていて、夜の10時になろうとしていた。周りには何もなさそうで、この時間から国境を越えるしかなさそうだ。


 ヨルダン側がどうなっているかもよく分からないが、とりあえず行ってみようと、2人で決断した。


 歩いて国境を越えるのは初めてだった。

 飛行場にある出入国ゲートに比べると緊張感が全く違う。国境に沿って長いフェンスが続く。そこに無機質な建物があり、まずイスラエルを出国する。女性の審査官は、そういう仕事なのだろうが、驚くほど無感情に質問をしてくる。


 パスポートを見ながら、「名前は?」「はい、わかりました。」「目的は?「はい、わかりました。」の繰り返し。


 出国すると、次はヨルダンへの入国ゲートだ。

 イスラエルの無機質なやり取りとは違い、私は日本人という事で意外にも歓迎された。日本とは友好的な国交があるとの事で入国費は免除された。質問もほぼなく、パスポートを確認する程度。


 しかし、アンディの方のゲートの様子がおかしい。アンディの口調や表情で異変が伝わる。そしてアンディはチェコ語を話し出した。ヨルダンの審査官がチェコ語が分かるとは思えなかった。


 アンディの審査を横目に私は先に入国を許され待合室で待たされた。


 数分してアンディが現れた。「おまたせ。」と言う表情に笑みはあるが、嫌な思いをしたに違いない。とりあえず、そこそこに高い額の入国費を取られ、質問責めにあった挙句、本当にチェコ人なら何か話してみろと言われたそうだ。どうせ分かるはずの無い、ただの意地悪だとアンディは悔しそうに言った。


 チェコはヨーロッパでは貧しい国の1つだから、たまにこう言う事があると。チェコは旅行先で万引きをすると言われた事もあったという。


 「さぁ、ペトラを目指そう!」


 アンディは力強く言った。



【15.3.  夜中の国境に待つ1台の車】

 

 国境を越えると、エイラットと同じように周りには何も無く、明かりはほとんど無かった。本当は夕方前には着いている予定だった。そして、この状況は少し良くない。周りに人の気配もないし、夜の国境なんて基本的に人の往来はない。歩ける距離に街があるようには見えない。


 私とアンディは立ち尽くした。


 さて、どうしたものか、、、


 その時、暗闇の先から男がこちらに声をかけて来た。「お前達、どこに行くんだ?」


 この状況を見れば、明らかにカモにされそうな、しかし、誰も居なかった場合に朝まで歩き続ける事と、どちらにリスクがあったのか。


 男は車で来ていた。そこには1台の車しかなく、彼はタクシードライバーだと言う。夜中の国境に紛れ込んで途方に暮れる旅行者を狙う、闇のタクシードライバーなのか、、、



 こういう時アンディは心強い。穏やかに、そして的確に話す力がある。


 「我々はペトラに向かっている、しかしタクシーに乗るような資金は無いから、バスとヒッチハイクで行こうと思う。バス乗り場を知っていたら教えてほしい。」


 バスは街に行かないと無いし、街までは夜歩くのはあまり良く無い。そして、バスはもうこの時間は動いていない。との事だった。


 アンディはしばらく男と話をしている。私は口を挟まずそれを見守る。そして、少ししてアンディが私に話しかけてくる。


 彼がペトラまで連れて行ってくれると言っている。ここからペトラまでは200キロある。夜動いた方が渋滞もないし、真夜中のうちにペトラの周辺につき、彼はその辺りのホテルに知り合いがいるから、そこにも連絡をつけてくれるとの事だ。


 アンディは彼の言葉を信じられるの?


 私は聞いた。


 するとアンディは、彼はもう20年もタクシードライバーをやっていて、こういう事は、よくある事だそうだと。ふらっと国境を見にくると、我々みたいなバックパッカーとよく出会うと。はじめはみんな、暗闇で声をかけられると、疑いの目線を向けてくるけど、バックパッカーはタフだから、割とすぐに彼を信じて話を聞くと。

 そして何より、1番今必要なのは車だと。


 話をして僕は彼を信じていいと思えたよ。


 とアンディは言った。


 その上で値段交渉をしたら、1人100シェケルは断られたけど、ホテル代込みで150シェケル。起きたらペトラの入口まで送ってくれるとの事。


 200キロのドライブ、宿泊代込みで1人4500円はかなり格安なのでは無いだろうか。ヨルダンでは高いのか。チェコではどうだろうか。


 わかった。アンディ、彼を信じて連れて行ってもらおう。ここまで交渉してくれてありがとう。

 つづく…

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