【人生はプース・カフェ Barに集えば…】イスラエルの夏2001 ⑬『ジェルサレムへの旅・前編』
プース・カフェとは、様々なリキュールの比重の違いを活かし、幾重に鮮やかな色が重なるカクテル。人生もまた色とりどりの思いでの重なり…
【13.1. ヒッチハイク】
アンディは、私にヒッチハイクの仕方を教えてくれた。今思えばこの旅は、到着が目的なのではなく、その道のりの過程が目的なのだから、ヒッチハイクも人生経験として悪いものではない。
当時と今とでは、いろいろ違うから、禁止している国もあるだろうし、危険も伴うので、強くお勧めはできない。そしていろいろ注意は必要である。
ヒッチハイクには、暇と度胸が必要だ。
予定通りには行かないし、馬鹿にして罵声を浴びせてくる人達もいる。
今のようにスマホは無いので、基本的には目的地の都市名と、それが北か南かくらいを把握して、後はひたすら出会った人に聞く。不思議と私達は、その方法で大抵のところまで、辿り着く事ができた。
とは言え、人生初のヒッチハイクでアンディとエルサレムを目指した時は失敗に終わった。
1台目の車が降ろしてくれた場所から、次の街までの距離があり過ぎて、ひたすら歩いていたら日が暮れてしまい、やむなく相乗りタクシーでキブツに戻る事になってしまった。
思えば、夜になって相乗りタクシーが止まってくれたから良かったけど、どこだか分からない所で夜を迎えるのは、かなりの緊張感があった。
次の週にまた、我々はエルサレムを目指す事にした。
今回は出来るだけ街を繋ぐように移動した。街に居れば、ヒッチハイクが見つからなくても、他の交通機関や宿泊施設もある。
闇雲なヒッチハイクはリスクと知ったのだが、ヒッチハイクは基本的に闇雲になりがちだった。
キブツからエルサレムまで3時間弱くらいか。2度目で、ヒッチハイクとタクシーを乗り継いで、今回は無事に到着した。
ここに来る間、「エルサレムへ」と言うと、「ジェルサレム」と返してくる人がいる。
その綴りを「Jerusalem」と書くからだった。
【13.2. 旧市街】
エルサレムの旧市街は、アッコーの10倍くらいはある様に感じられた。
深さが違う。
さすが聖地といわれるだけの、凄みと緊張感と神々しさがある街。深く深く入り込むほど、迷宮感覚に麻痺してゆく。
勝手にあまり写真は撮らない方がいいと言われていたので、残念だが細部の写真がない、、
旧市街は階段がたくさんあり、階段の左右に沢山の商店が並び、綺麗な布や、アクセサリーが売られている。たまに階段の踊り場から左右に脇道が伸びてたりして、その奥にもまた店がある。脇道の入口には鉄格子の頑丈な扉があるが、今は開かれている。
全体として1つの生き物の様に感じる不思議なエネルギーを持つ街。街は4つに区画分けされいて、それぞれの宗教の拠点となっている様だ。
アンディと2人でキョロキョロしながら階段を登って行くと、なんと偶然な事か、ハイファのホテルのロビーで出会ったザカニヤが、階段の上から降りてくる。
エルサレムからハイファに仕事に来ていたのはどうやら本当だったようだ。こちらから声をかけると、ザカニヤも私に気づき、やはり「ハレルヤ」と言ってくれる。
何となくホテルで会った時より、よそよそしく感じた。
確率で言ったら、偶然の奇跡的再開のはずだったが、急いでいたのか、横にいたアンディを紹介する間もなく、すっと通り過ぎて行ってしまった。
振り返るとザカニヤは、旧市街の景色とみるみる同化して、いつの間にか消えていた。
夕方になると、幾つかの鉄格子は既に閉じられていたり、または、閉じられようとしていて、来た道を戻ろうにも通れなく、帰り道に迷った。
閉じられた鉄格子の向こうから、数人の子供達が私とアンディに向けて石を投げて来た。
アンディが子供達に優しく、石を投げない様に言うと一瞬子供達はひるんだが、鉄格子がある安心からか、また投げて来たので我々は急いでそこから離れる事にした。
もう、観光の時間は終わりなのだ、、、
【13.3.ドミトリーのシャワーから】
旧市街の外には、それを囲うようにエルサレムの市街が広がる。人が多いのか、車や人が何だかゴチャッとしてゴミゴミしている。
エルサレムという、巨大な生き物の様な旧市街は、混沌が完璧に融合し、民や商店、階段や鉄格子、それら全てで1つとして存在していると感じられた。
それに対して外の街は、そこに住む人々の生活がそのまま出ている感じた。
街の人達は、車の運転がとても荒くて考えられない位、車間距離が狭い。よって、駐車する時も密集して止めている、それでいて整列していない。
たぶん辺りには沢山、安い宿があるのだろう。ここは世界中から目指して人が集まる所だ。1階がシュワルマ屋さんになっている2階の宿に泊まる事にした。
小さなコーヒーを飲むテラス席があり、奥には2階建ベッドが所狭しと並べられた相部屋のドミトリーだ。バックパッカーの旅は相部屋が安くていい。そして、我々はキブツの外にでたら、バックパッカーとして認識される。出身が違うであろう2人の男性が、大きなリュックを背負っているからだ。
シャワーとベット、朝の食パンとコーヒーで、1泊20シェケル(600円)くらい。男女も分かれているのかよく分からず、シャワールームから女性の笑い声が聞こえてくる。
何だか気になる、、その大きな笑い声に、アンディと私は、ハッとして目が合う。
やがて、ビチョビチョの長いブロンドヘアをガサガサと拭きながらでて来たのは、やはり、まさかのジョーだ。最近アメリカからカファマサリクに来たばかりのマーキーも一緒だ。
わ!!アンディ!Masa!
ちょうど良かった!人探してたの!
ここのドミトリーの人が、死海に連れてってくれるって!250シェケルで、車を出してくれるから、4、5人集めろって言われたの。
エルサレムから死海は車で2時間弱くらいか、アンディと是非行きたいと話していたが、そのルートが難しかった。
ジョー達もどこか旅行に出てると聞いていたが、まさかこんな所で同じ宿に泊まっているとは。
ドミトリーにジョー。
それは渡りに船だった。
つづく…
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